カンボジア奮闘記 ~書の章~
ぼくはカンボジアに行く前に、
カンボジア人に喜んでもらえるようなお土産はないか、と考えていました。
すると、
はっ
と、ひらめきました。
そうだ、
書道の書をプレゼントしよう。
ちょうど、ぼくの父が書道に熱中していたので、
親父に「カンボジア人にプレゼントしたいから、何枚か送ってくれ。」
とお願いしました。
すると仕事の早い親父は、すぐに書を送ってくれたのですが、
予想を超える大量の書に動揺を隠せませんでした。
「足りないならもっと送るぞ?」
という親父のメールに
「もう十分です!!」
と即答したのを覚えております。
ぼくは親父が送ってくれた書を大切に巻き、
スーツケースに詰め込んで出発したのでした。
旅の道中、日本語を勉強しているカンボジア人さん達と出会い、記念に親父がしたためた書をプレゼントしました。
するとカンボジア人さん達はとっても喜んでくれたのでした。
漢字の意味を一字一字、興味津々に聞いてくれるカンボジア人の様子を見て、
「書を持ってきてよかったな~。親父ありがとう!」と、ほっこりとしていました。
しかしある時、
事件 は起こりました。
次に出会ったカンボジア人に、
「これは日本から持ってきたプレゼントです。」
と言いながら取り出した書。
その書は、次のような感じで書かれていました。
よ め ね え!!
これでもぼくは、
日本人として33年間生きてきた。
誇りを持って生きてきた。
生きてきたが、
こればっかりは日本語として認識することができなかった。
書を持ちながら硬直するぼくは、当然、こう聞かれた。
「何て書いてあるんだい?」
・・・え、え?
ディス・・イズ・・・
ジャパニーズ・・・
ジャパニーズ・・・
ジャパニーズ・・・グレート・・・
ショ!!
自分でも何を言っているのか分からなかったが、
とにかくこの、ショなる紙切れがグレートであることだけは伝わったと思う。
というか申し訳ないのだが、
そもそもジャパニーズなのかどうか怪しかった。
チャイニーズだったらどうしよう。
そんな焦燥感に駆られた。
確かに、
事前に全ての書をチェックしなかったのはぼくの落ち度である。
であるが親父よ・・・
なぜゆえ息子も読めない書を送ってきたし・・・
この頃から、
大量に抱えた書の在庫をさばききれないのでは?
という一抹の不安が頭をよぎる。
そして、
各地でしつこくチップをねだってくる商売人に対し、
「チップはやれないけど、このグレートなショを授けよう。」
とか言いながらチップ代わりに渡したり、
ホテルのチェックアウト時、チップと言ってはなんだが
枕元に大量の書を添えてチェックアウトするなど、
だんだんと書の扱いが雑になってきたのである。
(親父、ゴメン。。。)
ベッドメイキングもこう思ったに違いない。
困ったジャパニーズだぜ!!
ぼくのカンボジア一人旅は続く。
P.S.
読めなかったあの字、
草書体というれっきとした書体でした。
下の写真は、船頭の少年に撮ってもらった写真。
お礼に渡したのは、もちろん ショ。