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アシダのアシダによるあしたのためのブログ

カーネギーを読んで

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今回の話は大マジメな話である。

 

 

 

くすりとも来ない内容であるかもしれないがお許し頂きたい。

 

 

 

デール・カーネギーの著書「人を動かす」は日本国内で430万部、世界で1500万部以上を売り上げた世界的名著である。

 

 

 

この本は経営者が読むことを勧めたり会社の新人研修にも用いられるほどであり、代表的な自己啓発本の一つと言えよう。

 

 

 

僕はこの本を最近購入し、晩ご飯のパスタをモグモグ食べながら片手間にこの本を読んでいた。

 

 

 

しかし冒頭の40ページぐらいを読むにつれてその内容にどんどんと惹きこまれていった。

 

 

 

冒頭で読んだ内容は、

 

・人は叱るよりも褒めることで成長すること。

 

・人を動かしたければ自分の欲求より相手の欲求を汲んであげること。

 

であると理解している。

 

 

 

カーネギー先生の言葉に心を揺さぶられた僕はパスタを食べる手も止めてしまっていた。

 

 

 

そして猛烈に誰かを褒めちぎりたくなった僕は突如、はっ!と思い立った。

 

 

 

 

 

そうだ、相席屋へ行こう。

 

 

 

 

 

僕は矢も盾もたまらず、

  

気がつくと髪にジェルを塗りたくってバッチリキメにかかっていた。

 

 

 

時はすでに21時だったが、ダッシュすれば何とか間に合うだろう。

 

 

 

相席屋は行ったことはなかったが、そこは男女が出会いを求めて集まる居酒屋と聞いている。

 

 

 

そんなイメージを元に僕は場所を「渋谷」に定め、

カバンに「人を動かす」をお守り代わりに詰め込んで家を出た。

 

 

 

カーネギー先生、見ていてください。

僕は人を褒めちぎります。

 

 

 

僕の胸は熱かった。

 

 

 

電車に乗り渋谷に到着、キャッチの勧誘もモノともせず相席屋へ直行。

 

 

 

しかしここで思いもかけず、

 

大問題が僕を待ち受けていた。

 

 

 

相席屋へ行ったことがある人はもうお分かりかもしれない。

 

 

 

そう、 相席屋は

 

 

 

 

一人では入れないのだ。

 

 

 


確かに以前どこかでそう聞いたことがあったのを思い出したが、

カーネギー先生の金言で頭がいっぱいだった僕にそんな事を思い出す余裕はなかった。

 

 


相席屋の店員に「そこを何とか!」と懇願するも、男女の組み合わせのシステム上、不可能であると入店を拒否された。

 

 

 

店を出た僕は途方に暮れ、小雨降る渋谷の夜空を仰ぎ、うなだれていた。

 

 

 

くっ、これでおめおめと帰宅してはカーネギー先生に合わせる顔がない・・・。

 

 

 

そして僕は再び、

 

はっ!と思い立った。

 

 

 

次の瞬間、僕は街行く見知らぬ男性に話しかけていた。

 

 

 

すみません、突然すみません・・・

あ、あの、、、良かったら僕と相席屋へ行きませんか?

 

 

 

相手の反応はこうである。

 

 

 

 

 

 

はぁ?

 

 

 

 


無理もないだろう。

 

 

 

女性に飲みに誘われるのならいざ知らず、

 

 

 

謎の男に突然誘われて「はい、分かりました。」と付き合ってくれる人がどこにいようか。

 

 

 

しかし、ここで諦めて引き返しては大事な何かを失ってしまう気がした。

 

 

 

気合を入れ直し、次の男性に話しかける。

 

 

 

「僕、メッチャ盛り上げますから!メッチャアシストしますから!」

 

 

 

しかし、いずれも答えはNOだった。

 

 

 

僕は再び渋谷の雨の夜空を見上げてうなだれた。

 

 

 

カーネギー先生、人は動いてくれないよ・・・」

 

 

 

半ば諦めかけていた僕はビルの脇に立ち尽くしていた。

 

 

 

すると後方から話し声が聞こえてくる。

 

 

 

「まだ10時だしな~帰る?」

 

「カラオケでも行く~?」

 

 

 

しめた!こいつらだ!

 

この状況から僕を救ってくれるのはこいつらしかいない!!

 

 

 

カーネギー先生は僕を見捨てなかった!

 

 

 

即座に振り向いてこう言った。

 

 

 

オレと一緒に相席屋へ行かない??

 

 

 

男の子A「え、え~それってどういう事っすか?」

 

男の子B「つか何やってんすか?(笑)」

 

 

 

話してみると彼らは大学生三人組であり、彼らの反応は悪くなかった。

 

 

 

しかし、色々な話で盛り上がるもなぜかなかなかYESとは言ってくれなかった。

 

 

 

そして僕らは数分間にわたり

 行くのか、行かないのか、同じような話をグルグルと何度もしていた。

 

 

 

僕がどんなに話しても彼らから欲しい回答を得られず、少し苛立っていた。

 

 

 

すると、どこからともなく声が聞こえてきた。

 

 

 

・・・人を動かしたければ相手の感情に着目しなさい・・・

 

 

 

そ、そうか、彼らは大学生。

 

 

 

ひょっとしたらお金のことを気にしているのかもしれない。

 

 

 

そこで僕は、飲み代の多くを僕が負担する事を提案した。

 

 

 

その瞬間彼らの顔色が変わった。

 

 

 

三人のまとまらない意見が一致し、

 

じゃあ行きましょうか!とすんなり決定した。

 

 

 

この時、僕の脳裏に救いのヒントをささやいた人物。それは、

 

 

 

それは紛れもなく

 

カーネギー先生であった。

 

 

 

 

僕はほとほとカーネギー先生の金言に感嘆した。

 

 

 

「たった今から君たちは戦友だ」と10才も年下の大学生達を引き連れて意気揚々と相席屋へ向かった。

 

 

 

しかしここでさらなる問題が発生する。

 

 

 

一人の男の子と話しながら歩いていたのだが、

ふと後ろを振り向いてみると付いてきているはずのふたりの姿が無い。

 

 

 

 

 

 

彼らは逃亡したのであった。

 

 

 

 

 

 

置いてかれた男の子は露骨にうろたえると、後ずさりし、もと来た道を引き返し始めた。

 

 

 

 

まずい!

 

 

 

ここで彼らに逃げられては、

 

再び地獄の男ナンパを開始しなければならない。

 

 

 

 

それだけは

何としても何としても避けたかった。

 

 

 

ちょうど三枚のお札に騙された鬼ババのごとき形相で逃げる小僧をおっかけた。

 

 

 

すると、ビルの影に隠れている逃亡した二人を発見した。

 

 

 

彼らを捕えるなり思わず、

 

勇気を出せ若者よ!

 

と叫んでしまったが、

 

 

 

後から考えると、謎の大人に半ば強引に飲みに行こうと言われている訳だから

彼らが怖がるのも無理はなかった。

 

 

 

それにカーネギー先生も人を責めたところで何の生産性も無いことを強く説いている。

 

 

 

しかしここまで来るとほぼ拉致である。

 

 

 

僕一人で三人拉致しようというのだから難事業だ。

 

 

 

僕は彼らの不安要素を一つ一つ取り除いてあげるよう、

 

可能な限りリスクリバーサルを施した。

 

 

 

そんな時、彼らに一つの疑問を投げかけられた。

 

 

 

「そこまでの気合いがあるのに何で普通にナンパしないんですか?」

 

 

 

え?そりゃあナンパなんてしたこと無いし、ビビるだろ・・・

 

 

 

と言った瞬間に、何かが矛盾している事に気がついた。

 

 

 

そう、僕は立派にナンパをしていたのだ。

 

 

 

を。

ではあるが。

 

 

 

彼らをなんとか勇気付け、お店に連れていき、店員と交渉し、女の子を招いて、何とかこの全突っぱりな宴会はスタートした。

 

 

 

冒頭のツカミについては心配する必要はなかった。

 

 

 

本日のこの数奇な出会いを説明するだけで、序盤のツカミとしては十分だったのだ。

 

 

 

しかし、あまりこういう場に慣れていない様子の男の子三人組はやや緊張気味だった。

 

 

 

皆、自分から会話を切り出せないでいる。

 

 

 

普段なら僕は自分の興味のままにしゃべってしまうが、

本日の目的は人の長所を褒めちぎることである。

 

 

 

しかし場の空気が絶賛降下中だったので、会話をつなぐ事に思わず精一杯になってしまった。

 

 

 

また、会話に参加できていない人にパスを送ることにも専念していた。

 

 

 

僕は高校時代のサッカー大会の事を思い出した。

 

 

 

僕はほとんど役立たずで、コートの後ろの方でひたすらボールが来ないことを祈るのみだったが

ここへ来て急遽カンビアッソ的役割を担うことになったのである。

 

 

 

激しく精神力を消耗した。

 

 

 

ボールを切りさばくのに精一杯だった僕はすっかり本来の目的を忘れかけていたが、

大学生三人組の中の一人が自分の目標について話し始めた。

 

 

 

僕は率直に感心したが、何より若い人を応援したかった。

 

 

 

僕はここぞ!とばかりに褒めモードに入った。

 

 

 

「いや~その若さでしっかり目標を持っているなんてスゴイな!」

 

「一年以上かけて準備してるなんて努力家だな!」

 

 

 

彼はプライドが高そうな男の子だったが、

自分の話を聞いてもらったり、皆の前で褒められると、とても嬉しそうに見えた。

 

 

 

当たり前のことかもしれないが、今まであまりこういう人の見方をしたことがなかったかもしれない。

 

 


こんなに気を使った飲み会は初めてだった。

 

 

 

正直言うと僕自身は全然しゃべりたいことをしゃべれなかった。

 

が、その欲求を満たすためにここに来たわけではない。

 

 

 

そんなこんなであっという間に終電の時間になってしまった。

 

 

 

想定していなかった男ナンパにかなりの時間を取られたため、宴会の開始時間が遅くなっていたのだ。

 

 

 

レジで提示された予想外の金額に一瞬めまいがしたが、何食わぬ顔で会計を済ませた。

 

 

 

僕はここでもまた「人を動かす」の一文を思い出した。

 

 

 

「人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。」

 

要望でも希望でもない。

  

渇望である。

 

 

 

この時、金を払ってでも大人の見栄を張りたかった小人の僕は、まさに若者達からの承認を渇望していた。

 

 

 

カーネギー先生の言葉にはほとほと感嘆するばかりである。

 

 

 

この日、僕はカーネギー先生のおっしゃることを少しは体感することができたのではないかと思っている。

 

 

 

しかし、それだけではなかった。

 

 

 

ある瞬間の、「相席屋へ行く」という決定が、

その後の僕の数時間の人生を予想だにできないものへと変えてしまった。

 

 

 

朝起きて、いつも通り仕事のためデスクへ向かった僕が、

 

その日の夜には渋谷で男をナンパし、

 

大学生を拉致し、

 

見ず知らずの女の子達と相席屋で話をすることになるなど一体誰が想像できたであろうか。

 

 

 

僕は彼らとの別れ際、この日の思い出にと、ここでも半強制的に彼らと写真を取った。

 

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 みんな、僕に付き合ってくれて本当にありがとう!!

 勉強頑張ってな!!

 

 

しかし後日、「人を動かす」をさらに読み進め

「人の立場に身をおく」というカーネギー先生の言葉を読み、

 

 

 

大学生三人組の立場を考えず、強引に相席屋に引っ張っていってしまった僕はただただ愕然とするのでした。